不動産ビジネス専門家協会(PREB)の設立にあたって拘ったのが「専門家」という言葉です。
専門家の必要性
不動産、あるいはビジネスに関しては、様々なトラブルや課題があります。
これらを解決するためには専門的な知識や経験が不可欠ですが、一人の人間が全ての事柄について精通することなど到底不可能です。
そこで、ある特定分野に精通している人=専門家のサポートが必要となります。
さらにいえば、不動産やビジネスに関わる諸問題というのは、ある特定の分野の問題にとどまらず、別の分野の問題と絡み合っていることも少なくありません。
たとえある特定の分野について日本一(あるいは世界一)の専門家だとしても、別の分野に関してはそこまでの知識・経験を持っていないことが普通であり、お客様(依頼者)が抱える問題を全て一人で解決できるという人は少ないと思います。
このため、お客様(依頼者)の立場だけでなく、専門家の立場としても、自分とは異なる分野の専門家と協業する必要性は非常に高いのです。
専門家とは?
Wikipediaによれば、専門家とは「技術・芸術・その他特定の職域で精通し、専門的な知識と能力のある人」とされています。
世間的には、大学教授であったり、弁護士、税理士等のいわゆる「士業」の人たちがイメージされることが多いですが、必ずしも資格や肩書によって定義されるものではありません。
PREBへの入会をお誘いしたときに、「自分は宅建しか持っていないし、専門家と名乗るほどの者ではないので…」等と固辞される方が少なくないのですが、不動産実務に精通している方も不動産の専門家だと思っています。
(むしろ個人的には、関連資格をたくさん取得しているが実務経験に乏しい方よりも、様々な修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富な実務家の方が「ザ・プロフェッショナル」という感じで好みです。)
私自身も自分のことを「専門家」と称することに気恥ずかしさはありました(今でもあります)が、不動産の世界で様々な経験をされてこられた方には、専門家であると胸を張って名乗って頂ければと思っています。
PREBの入会資格
ところで、PREBでは入会できる方を以下のとおりとしています。
①宅地建物取引士、不動産鑑定士、弁護士、公認会計士、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、税理士、弁理士、社会保険労務士、一級建築士、二級建築士、マンション管理士、海事代理士、賃貸不動産経営管理士又は中小企業診断士である者 |
②宅地建物取引業の免許を受けた個人又は免許を受けた法人の代表者 |
③前各号に類すると認められる者 |
さきほど「専門家とは資格や肩書によって定義されるものではない」と言っておきながら、入会資格を限定するのはおかしいではないか、というご指摘もあろうかと思います。
しかし、「専門家協会」として活動していく以上、会員である専門家のクオリティについて何らかの基準が必要だと考えております。
とはいえ、本人が持っている知識や経験を具体的に確認することはなかなか難しいところがあるため、資格の有無という客観的な基準に依らざるを得ないという事情があります。
決して資格を持っているから専門家、資格を持っていないから専門家ではない、という趣旨ではありませんので、その点はご理解いただけますと幸いです。
執筆者
一般社団法人不動産ビジネス専門家協会代表理事
不動産法務サポートオフィス行政書士事務所
行政書士
宅地建物取引士