令和6年度宅地建物取引士資格試験の結果発表がありました。
今年度の合格率は18.6%、合格基準点は37点でした。
合格された皆様、誠におめでとうございます!
数年間ですが資格学校で宅建講座の講師を務め、現在も登録講習(宅地建物取引業者の授業者向けの講習で、修了すると宅建試験で5点免除を受けられるもの)と登録実務講習(実務経験2年未満の方を対象とする実務経験の代わりとなるもの)の講師をしておりますので、宅建試験には思い入れがあります。
とりあえず宅建を受験
私が宅建試験を受けたのは平成2年(1990年)、当時は大学3年生でした。
法曹の道を目指すつもりもなく(←目指せるような成績ではなかった)、具体的にやりたい仕事があるわけでもなく、ましてや不動産会社に就職しようなんて1ミリも考えていませんでした。
そんな私がなぜ宅建を受験したのか、今となっては本人も覚えていませんが、おそらく明確な理由などなく、「とりあえず」受験してみたというのが真相だと思います。
何の志もありませんでしたが、当時は暇を持て余していましたので、時間だけはありました。
実質3か月くらいのことだと思いますが、文字通り朝から晩まで宅建の勉強に明け暮れた記憶があります。
そのおかげで1回で合格することができました。
とりあえず不動産業界を目指す
宅建試験が終わると、就職活動のシーズンに突入したのですが、相変わらずやりたいことは見つからないまま…。
どの企業にエントリーしようと悩んだ挙句、「とりあえず」不動産業界に的を絞ることにしました。
なぜ不動産業界か?…宅建に合格したから、ただそれだけの理由です。
それでも、いったん的を絞って業界・企業の研究をしたり、説明会やOB訪問をしたりする中で、だんだんと不動産業界への興味が沸いてきました。
そうこうしているうちに幾つかの会社から内定を頂き、その中の一社に就職いたしました。
そんな私が、30年後に不動産関連に特化した行政書士となり、不動産に関わる団体(当協会)の運営に携わっているのですから、人生ってわからないものですよね。
計画的偶発性理論
自分のキャリアを振り返ってみたときに「計画的偶発性理論」(Planned Happenstance Theory)のことを思い出しました。計画的偶発性理論は、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授によって1999年に発表されたキャリア理論です。
<計画的偶発性理論の骨子>
- 予期せぬ出来事がキャリアを左右する
- 偶然の出来事が起きたとき、行動や努力で新たなキャリアにつながる
- 何か起きるのを待つのではなく、意図的に行動することでチャンスが増える
何をしたいかという目的意識よりも、偶然の出来事の方がキャリアに大きな影響を与えるという考え方です。
しかし、「ただ偶然に身を任せればうまくいく」ということではなく、「キャリアを充実させるには、チャンスを引き寄せるための努力をすべき」だというのが計画的偶発性理論の主張です。
…私の場合は偶然に身を任せただけでしたね(笑)。
一歩踏み出すことの大切さ
開業後にもさまざまな偶然があり、それが自分のキャリアに大きな影響を与えてきました。
PREBで様々な専門家・実務家の方々と出会えたことも偶然ですし、PREBの活動がきっかけでビジネスにつながったことも偶然の産物と言えます。
しかし、それは偶然ではあるけれども、単なる偶然ではなく、PREBへ入会しようという行動がきっかけで生まれたものだと思います。
偶然を呼び込むためには、自ら一歩踏み出すことが大切ですね。
執筆者
一般社団法人不動産ビジネス専門家協会 代表理事
不動産法務サポートオフィス行政書士事務所
行政書士
宅地建物取引士