書籍「不動産相続と事業承継の悩みに答える本」が発売されました

投稿者: | 2025年9月30日

日本は今、かつてない規模で「大相続時代」を迎えています。団塊の世代が高齢化するとともに人口減少が進み、数多くの資産(とりわけ不動産)が次の世代へと引き継がれる中、特に注目されているのが「相続」と「事業承継」の問題です。これらは個人にとっても企業にとっても避けて通ることのできないテーマであり、適切な準備や対策を講じることが、家族や事業の将来にとって極めて重要な意味を持ちます。

特に不動産は、相続や事業承継において中心的な役割を果たす資産です。相続に関していえば、不動産は価値が高い一方で分割が容易ではないため、相続人間の争いの原因となったり、税金や維持費用などの負担を生じさせたりすることがあります。すなわち、対応を誤った結果、せっかくの資産が『負動産』となり、相続人や後継者にとって大きな負担となってしまう危険性が十分にあります。 また、事業承継に関していえば、事業を営む中小企業においては、本社・工場・店舗といった事業用不動産が経営資源の中核をなすことも多く、承継の方法次第で企業の存続が左右されるケースも少なくありません。そのような家業や不動産事業を次の世代へスムーズに承継する際には、相続以上に綿密な準備と戦略が必要となります。単なる「所有の移転」ではなく、「経営の継続」や「組織の再構築」も伴うため、法務や税務の手続き面のみならず人間関係に至るまで、さまざまな視点での対応が求められます。

本書では、不動産を中心に据えた相続および事業承継の課題と対策について、基本的な考え方から実際の手続き、トラブルの予防策、最新の税制・法改正の動向に至るまで、当協会に所属する弁護士や税理士をはじめとする専門家が事例を基に分かりやすく解説しています。

人生100年時代において、「相続」と「承継」は、より早く・より具体的に考えなければならないテーマです。本書が、家族経営を行う中小企業の経営者や、不動産オーナーとして将来の備えを検討する方にとって、実践的な知識と判断材料を提供できれば幸いです。

目次

第1部 相続の混乱はなぜ起こるのか?―現場から見える課題

第1章 誰かが知らないうちに先祖代々の土地に住んでいたら
第2章 賃貸不動産の建て替えと後継者の問題
第3章 20年揉め続けた80代3兄弟の実家相続
第4章 知らぬ間に契約違反?――事業承継に潜む賃貸借トラブルの盲点
第5章 不動産・相続のトラブル事例

第2部 相続の混乱を防ぐには?―制度と実務の活用法

第6章 不動産の割合が多い遺産分割はモメやすい!?相続トラブル事例とその対策
第7章 相続の現場から見えた「不動産の問題」とその乗り越え方
第8章 遺言書を残していない場合のトラブル、また遺言書を残していたが発生したトラブル
第9章 経営者が行うべき経営承継対策
第10章 相続税における税務調査の現状と対策

執筆者

佐藤 徳典(弁護士)
三好 貴大(宅地建物取引士)
髙橋 大樹(宅地建物取引士)
清水 将博(弁護士)
矢上 隆司(税理士)
鈴木 美穂(司法書士)
小林 啓二(宅地建物取引士)
難波 誠(司法書士)
尾崎 充(公認会計士)
花光 慶尚(税理士)