宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の三好です。
家主・地主を務めていると、やはり心配になるのが「事業承継」です。
・子供にどうやって引き継ごうかな・・・ ・自分が亡くなったとき、親族間で揉めて欲しくない・・・ ・相続税はいったいいくらになるのだろう・・・ |
上記は一例ですが、家主・地主としては事業承継に関する悩みは尽きず、その中でも代表的なのは「相続」です。
また、「相続」の中でも悩みとして最も多く耳にするのが「相続税」です。
相続税額は人によって異なりますが、数百万円から数千万円、時には数億円という場合も珍しくありません。
金銭的なインパクトが強いので、どうしても「相続税を安くできます!ゼロに出来る方法もありますよ!」と耳にすると、つい興味を抱いてしまう家主・地主も多いです。
そして、相続が発生して、亡くなった方の意思とは反して、子供をはじめとする親族間で紛争が生じてしまうことがあります。
なぜなら、「相続税」に対して対策を行っていても、それ以外の大事な要素は手付かずというケースが後を絶たないからです。
では、「相続対策」における大事な要素とは何でしょうか?
① 誰にどの資産を相続させるか? →遺産分割対策 ② 相続税の納税資金はどうするか? →納税資金対策 ③ 相続税を安くできないか? →相続税対策 |
つまり、相続税を安くすることばかり考えてしまい、遺産分割や納税資金についての対策を行えず、相続人の間で「俺の取り分が少ない!」「不動産はいらないから現金をよこせ!」と喧嘩になってしまうことが多いのです。
「相続対策」と聞くと「相続“税”対策」が頭に浮かぶ方が多いのですが、実は「誰にどの資産を相続させ、納税資金はどう工面し、納税資金が少なくても良いように相続税を安くすることができないか?」と全てを総合的に対策していくことが、正しい「相続対策」となります。
では、「相続対策」を行うにはどのようなことを知っておく必要があるのでしょうか?
遺産分割対策 | ・遺言 ・遺留分 ・特別受益 ・寄与分 など |
納税資金対策 | ・金銭納付 ・延納、物納 ・納税用不動産の準備 など |
相続税対策 | ・納税額の試算 ・生前贈与 ・評価下げ ・納税猶予 など |
上記が代表的な項目となります。
これらをはじめとする相続に関係する項目を理解し、ご自身のケースではどのような項目が該当するのか、気を付けて対策を取るべきなのかを検討する必要があります。
また、「事業承継」という視点では、賃貸経営の実務に必要な知識などを後継者に伝えていく必要があります。
例えば、
・建物賃貸借に関する法律と実務 ・賃貸経営に関連する民法 ・税務 ・建築関係 ・ファイナンス |
など多岐に渡ります。
しかし、事業承継に関して勉強したいと思っても、何から手を付けて良いか分からないという家主・地主の方は非常に多いです。
不動産ビジネス専門家協会では、弁護士や税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士、宅地建物取引士など、多くの専門家が集まっています。
2020年には「家主・地主のための経営承継塾」を開講し、受講された家主・地主の皆様からもご好評いただきました。
一人でも多くの家主・地主の方が事業承継や相続対策で悩み続けることがないように、不動産ビジネス専門家協会では今後も講座の開講やブログでの発信など取り組んでまいります。
今後も各専門家が事業承継に関連する記事を発信してまいりますので、ぜひご自身の賃貸経営にお役立ていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
執筆者紹介
株式会社東京レント ソリューション事業部
宅地建物取引士
賃貸不動産経営管理士