誰に何を相続させたいか?~相続対策の最初の一歩~

誰に何を相続させたいか?~相続対策の最初の一歩~

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の三好貴大です。

私は賃貸管理をメイン業務としておりますので、様々な大家さんから悩みを聞きますが、その中で良く出てくるのは「相続」のことです。

よく「相続税」について聞かれることが多いのですが、「では、誰に何を相続させるか決まっていますか?」と質問すると、あまり明確な答えが返ってこないことは少なくありません。

もちろん、相続人となる人が子供1人の場合など、明らかに揉める可能性がない場合は問題ありません。
そのような場合でも、相続発生時に戸籍を調べたら隠し子がいて、実は相続人が2人だった・・・というケースもありますが。

しかし、相続について不安のある方は、兄弟がいる、前妻の子供もいるなど、相続人が複数いる場合が多いでしょう。

そんな時は、まず「誰に何を相続させたいか?」という考えから確認するようにしましょう。

しかし、「自分が死んだときのことなんて考えたくない!」「子供達はみんな仲が良いから大丈夫!」と、遺産分割について考えてくれないという方は珍しくありません。

子供から「そろそろ相続のこと考えようよ」と相談しても、「死ねってことか!」と怒ってしまうケースも珍しくありません。

「誰に何を相続させたいか?」を確認する際には、以下の3つのポイントを押さえましょう。

1.徐々に考えを深掘りしていく

私は単刀直入に聞くのではなく、徐々に深掘りしていく聞き方をオススメしています。

例えば、以下のようなステップでヒアリングしていきます。
※相続人となる親族が長男・次男と想定した場合

① 今後このマンションはどうしていきたいと考えてるの?
→子供に経営を継いで欲しい

② このマンションの経営を誰に引き継いでもらいたいと考えてるの?
→長男に継いでもらいたい

③ 長男が継いだら、次男には何か渡したいものはある?
→次男には現金をあげたいと思ってる

このように「誰に何を相続させたいか?」ではなく、事業承継という視点からお話しをしていくことで、スムーズに考えが引き出せる場合があります。

2.相続トラブルの事例を知ってもらう

相続について考えたくないという方の一部は、相続によって揉めること自体を知らないというケースなので、相続トラブルの事例を知ってもらうことは非常に重要です。

例えば、マンション1棟を保有していて、現金があまり無く、子供が2人いた場合は、相続後に子供が2分の1ずつ相続する共有状態となるケースが多いです。

しかし、共有状態だと兄弟姉妹で考え方が異なる場合も多く、喧嘩になって関係が悪化する場合もありますし、次男次女から「自分は不動産はいらないから、相続分の現金をくれ!」と言われてしまうと、次男次女に渡す現金がなく、やむなく売却して現金化しなければいけない可能性や裁判に至る可能性もあります。

おそらく親としては、そのような結果は望まないと思いますので、そのような可能性があることをテレビ番組や知人の話、雑誌や本で知った情報などを共有し、「揉めると大変だ!」と理解してもらうと、協力的になってくれる場合があります。

3.嫌がっている場合は無理に話をしない

嫌がっている中で相続の話を続けると、嫌悪感を抱いて一切協力しなくなってくれる可能性があり、それは一番避けなければいけません。

反対に、時間が経過すると徐々に考え方が変わってくる場合もあります。

時には友人が相続で揉めた話などを耳にして、「自分も今後のことを考えなくちゃ」と協力的になってくれるケースもあります。

私が管理に携わったマンションオーナー様も当初は相続に関してお話しするのは嫌がっていましたが、テレビ番組で相続トラブルの話を見て、段々協力的になってくれたことで、最終的に公正証書による遺言を作成して、無事に遺産分割対策を行えました。

相続対策の第一歩は、マンションの建て替えや不動産の購入、家族信託などではなく、「誰に何を相続させたいか?」を明確にすることです。

以上を参考に、「争続」にならない遺産分割対策の第一歩に取り組んでみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

執筆者紹介

三好貴大

株式会社東京レント ソリューション事業部
宅地建物取引士
賃貸不動産経営管理士

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