外国人との賃貸の注意点(後編)

外国人との賃貸の注意点(後編)

前回は外国人と賃貸について、ご案内や申込に関することをお話しましたが、外国人との契約に関してお話します。

契約条件とルールへの理解

入居予定者、人数をよく確認してください。

入居申し込み、審査、契約締結、入居までの流れ、賃貸借契約の各条項、日本の賃貸の制度、敷金、礼金、原状回復、建物内のルール、口頭のみでの契約締結は不可、重要事項説明を受けたうえで賃貸借契約を締結する手順を理解していただきます。

日本国内の銀行口座、携帯電話等連絡手段を確認してください。

日本国内での銀行口座開設は仕事や留学で原則6ヵ月以上国内に滞在していることが必要ですが、銀行によっては3ヵ月以上で可のところがありますので事前に確認してください。

在留期間の制限がありますから定期借家を活用し、長期滞在を予定し在留期間更新許可がおりるのであれば再契約型とするとよいでしょう。

オーナーさんの理解

入居予定者が信頼できる方でありルールを守ってくださる方であることを理解いただくことが必要です。

きちんと日本語でコミュニケーションが取れる方であれば、そこは何よりアピールしましょう。

オーナーさんの理解が大切ですが、またオーナーさんが安心してくれる管理会社の体制も重要です。
なお、実際に賃貸すると外国人の入居者は長期滞納が少ないと聞いています。

契約締結

日本語での賃貸借契約を行う場合でも「外国人入居円滑化ガイドライン」等に掲載されているような外国語翻訳を提示してあげるとよいでしょう。

契約締結時は、入居予定者はすでに住所が国内にあれば居住者、居所がある期間が1年未満なら非居住者ですが、法の適用に関する通則法に「前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による」とありますので準拠法についての記載は不要と思います。

日本語に一定以上の能力のある入居予定者の方でも、不動産の専門用語や複雑な日本語の表現はわからないことでしょうから、平易な日本語で早口にならないよう、ゆっくりとした説明をしましょう。

本人の日本語がまだ不十分で通訳する知人の方が同席し説明する場合でも同様です。

些細な文化・習慣の違いから行き違いが起こることはありますが、事前の説明で回避できるものもあれば契約違反で厳正に対応しなければならない場合もあります。

一つ一つの条項を理解してもらってください。

解約、退去の場合は一切の債権債務の清算を国内で完結できるよう良くコミュニケーションを取ることが必要です。

出国した場合は、たとえ出国先の住所が判っていても解決の手続きが複雑になりますのでご注意ください。

まずは入居者の状況、在留期間、勤務先等状況をよく把握しておくのが基本です。

先んじて外国人の賃貸を推進してきた皆さんが多くの情報を発信していますから、参考にされると良いでしょう。

今回の執筆者

松橋輝彦

CFP
一級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産コンサルティングマスター

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