令和5年度税制改正大綱では、家計の資産を貯蓄から投資へ振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISA制度の拡充が図られることとなりました。
現行のNISA制度はつみたてNISA、一般NISA、ジュニアNISAの3本立てとなっています。
このうち、つみたてNISAと一般NISAをひとつにまとめ、つみたて投資枠(年間投資枠120万円上限)をベースにしつつ、一般NISAの流れを引き継ぐ成長投資枠(年間投資枠240万円上限)を設けることとしました。
あわせて、生涯非課税限度額を1,800万円(うち成長投資枠の生涯非課税限度額1,200万円)とすることで、NISA制度の大幅拡充が図られています。この改正は、令和6年(2024年)1月1日以降、適用されます。
年間投資枠は、つみたてNISAの年間投資枠40万円からつみたて投資枠の年間投資枠120万円へと3倍、一般NISAの年間投資枠120万円から成長投資枠の年間投資枠240万円へと2倍にそれぞれ引き上げられています。
仮に、つみたて投資枠の年間投資枠上限120万円、成長投資枠の年間投資枠上限240万円で投資した場合、5年間で生涯非課税限度額の1,800万円(成長投資枠の非課税限度額1,200万円)に到達することになります。
また、つみたて投資枠のみを利用し、年間投資枠上限120万円で投資した場合、15年間で生涯非課税限度額の1,800万円に到達することになります。
なお、現行のつみたてNISA、一般NISAで投資した商品については、「改正後のNISA制度の生涯非課税限度額に含まれない」とされていることから、新たに非課税枠が増えたイメージで投資することが出来ます。
老後資金2,000万円問題が注目されてから、公的年金制度に不安を持つ若年、中年世代の投資意欲が高まってきていると感じます。
税制上有利な制度を活用することは、将来の手取りを増やすことに繋がりますので、活用を検討して良いでしょう。
また、個人の家主地主は、現金と不動産だけではインフレや人口減少に伴う不動産価格の下落等で大きな影響を受けてしまう可能性がありますが、賃料収入で得た利益の一部をNISAで長期運用することにより、資産の分散によるリスクヘッジに加えて、効率的に資産を増やしていける可能性があります。
つみたてNISAでは金融庁お墨付きの優良ファンド銘柄のみ購入できます。
その中でも良し悪しはありますが、まずは少額からでも良いのでつみたてNISAから始めて、令和6年から始まる新しいNISAに備えて経験を積むことをお勧めします。
執筆者紹介
花光慶尚税理士事務所
税理士