今後も拡大する屋根付け太陽光発電(補論)

今後も拡大する屋根付け太陽光発電(補論)

~新品パネルを使わなくても中古パネルでもいい~

4月に、掲題を「前編」「後編」として述べさせていただきましたが、同業者と意見交換するなかでこれはと思ったものを補足させていただきます。

今回お伝えしたいのは、屋根に設置する太陽光パネルについて、実は中古パネルでも十分ではないかということです。

この点、中古のパネルだと発電量は大丈夫なのか、という疑問が真っ先に出てくるのではないかと思います。
もちろん故障していない中古のパネルでも経年劣化はしており、新品よりも発電量が落ちるのは間違いありません。

でもご心配なく。

固定買取価格制度(FIT等)で全量売電するのであれば、太陽光パネルの発電量が減少している状態は好ましくないと言えますが、屋根付けした太陽光パネルはそもそも自家消費するのが主たる目的です。

そうであれば新品より10~20%ほど発電量が減少していても問題ありません。

発電した分だけ利用すればいいからで、そうであれば太陽光パネルは安い方がいいことになります。

もし、もう少し発電量が欲しいというのであれば、屋根にパネルを10枚載せるところを11枚にすればいいのです。

再エネ業界でよく言われる「過積載」ですね。

そして、これから大量のパネルが廃棄されていくことが見込まれています。

太陽光パネルのリサイクル技術は進歩してきていますが、いわゆる3R(Reduce、Reuse、Recycle)のうち、すべてリサイクルするのではなく、Reuse、つまり再利用するのも廃棄パネルを減らす手段となります。

再利用可能な状態で中古パネルが手に入ったとしても、大規模な発電所を作ろうと思うと大量にパネルが必要になるため不向きですが、屋根に載せるぐらいであれば少量の枚数で済みます。

そのため、再利用で活用できる場面が格段に広がります。

そして中古パネルの方が新品より安く済みますので、前回お話しした屋根付け太陽光発電の拡大の障害となっている初期コストの問題の解決策にもなりえます。

事実、都内の中古パネル業者にも問い合わせが増えているそうです。

廃棄パネルの数を減らすことができたうえに、太陽光発電の普及により東京都も脱炭素できる。

消費者もコストを抑えて太陽光パネルを設置でき、電気代も安くできる。

そして、中古パネルを仲介する業者も潤うという具合に、一石四鳥ぐらいの施策になる中古パネルの再利用。

なお、注意しておきたいのが、中古パネルを利用した場合は東京都が用意した補助金制度は利用できないことです。

そのため、新品のパネルとともに補助金を利用したほうがコストが安く済むのか、それとも補助金なしでも中古パネルを使った方が安く済むのかは、検討が必要なところです。

興味がある方は中古パネルを扱っている業者さんに、一度問い合わせてみては?

執筆者紹介

吉田幸司

株式会社自然エネルギー市民ファンド
弁護士

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