外国人と賃貸については、国内に居住する外国人の賃貸借契約という問題と、海外の外国人投資家がオーナーの物件の賃貸借契約という区分けができますが、今回は国内に居住する外国人の賃貸借契約に絞ってお話します。
外国人特有の問題や注意点は複数ありますので、今回は前編と後編に分けて解説していきます。
「2022年版出入国在留管理」よれば2021年末における在留外国人の総人口に占める割合は2.20%となっており、高度人材の制度もあり以前にもまして外国人との賃貸借契約は増える傾向にあります。
空室が増えるなかで外国人の入居は重要でしょう。
行政も条例を設け「入居の機会が制約されることないよう啓発につとめる」(東京都)、「外国人であることをもって入居を制限されることはない」(川崎市)と定めているところからも実際は外国人が賃貸借契約で苦労する場合が多いことがうかがえます。
今回は賃貸借契約の外国人特有の問題をいくつか列記してゆきます。
本人確認と資格
本人の在留資格と期間を確認します。
賃貸借契約の期間が在留資格の期間内か確認します。
在留資格は法務省入国管理局が許可するもので、海外の大使館・領事館が発行する日本入国のための書類であるVISAとは異なります。
本人確認書類はパスポート、3か月以上居住で在留カードが交付され、3ヵ月以上居住で住民登録・印鑑登録ができます。
住民登録していない方はサイン・サイン証明で契約します。
以前より必要と言われていた日本人の連帯保証人は保証会社の利用により不要な場合が増えています。
在留資格と在留期間をチェックしてください。
そのほか、勤務証明書、在学証明書、収入証明書、就労資格証明書、資格外活動許可書は本人の内容により用意してもらいます。
社内の体制
外国人に対応できるスタッフは必須です。
外国語、できれば多言語、各国の文化、在留資格等諸制度を理解していることが必須です。
国土交通省の「外国人入居のための賃貸住宅入居の手引き」(外国人向け)「外国人入居円滑化ガイドライン」(賃貸人、不動産業者向け)は14か国語に対応しています。
ご覧になられたことがない方は、以下にリンクを記載しておきますので、ぜひ一度内容を確認することを推奨します。
■外国人入居のための賃貸住宅入居の手引き
https://www.mlit.go.jp/common/001334734.pdf
■外国人入居円滑化ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html
今回は外国人のご案内や申込に関することをお話しましたが、後編では外国人との契約に関して解説していきます。
今回の執筆者
松橋輝彦
CFP
一級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産コンサルティングマスター